2019年 Redbull Airrace 第3戦 バラトン湖 in ハンガリーを見ての感想です
ネタバレを含むので、まだ知りたくない人はご注意を
予選
いつものように低い順位から始まる予選
FP1, FP2 が悪天候のためキャンセルされ、FP3 のみの練習、しかも FP3 と風向きが変わってそこそこ強風の中での予選
解説のポール・ボノムさん曰く「適用力が試させる予選になる」「条件により様々なコース取りが考えられる」とのこと
まず良いタイムを出したのはベン・マーフィー選手
1秒ペナルティをもらいながらコースコードを出す58秒8!
これは早いっ!
その直後にフアン・ベラルデ選手がレコードを塗り替える
でもネットタイム (ペナルティ無視) だと、ベン・マーフィー選手が早いんだよね
しばらくはタイム更新されませんでしたが、マルティン・ソンカ選手がコースコードブレイク!
一本目は不安定なフライトでしたが、2本目にきっちり合わせてきましたね
この結果 Round of 14 の対戦はこうなりました
ピート・マクロード v.s. ベン・マーフィー
フランソワ・ル・ボット v.s ミカエル・ブラジョー
ペトル・コプシュタイン v.s. ニコラス・イワノフ
カービー・チャンブリス v.s. 室屋義秀
マイケル・グーリアン v.s. マット・ホール
クリスチャン・ボルトン v.s. フアン・ベラルデ
マティアス・ドルダラー v.s. マルティン・ソンカ
ところが、なんと室屋義秀選手に1秒ペナが発覚した模様
室屋義秀選手は、1 回目クリーン(だと思われていた)、2 回目は 3 秒ペナルティでした
しかし、1 回目も “Crossing The Track Limit Line” だったことが後から発覚
このため 1 秒追加で、結果的に予選順位は 9 位に降格です
あらためて、Round of 14 の対戦はこうなりました
ピート・マクロード v.s. ニコラス・イワノフ
フランソワ・ル・ボット v.s ベン・マーフィー
室屋義秀 v.s. マット・ホール
カービー・チャンブリス v.s. ミカエル・ブラジョー
ペトル・コプシュタイン v.s. マイケル・グーリアン
クリスチャン・ボルトン v.s. フアン・ベラルデ
マティアス・ドルダラー v.s. マルティン・ソンカ
今回の予選、Gate5 と Gate13 のバーティカルターンでの ”Over G” および “Crossing The Track Limit Line” ペナルティが目立ちました
このターンを垂直に上がらず斜めに上がったほうがタイムが早いのでしょうが、急激な操作が必要なために G の調整が難しいようです
そして斜めに上がったコース取りを間違えると、簡単に “Crossing The Track Limit Line” を犯してしまう
今回のコースはスピード域が高く、比較的簡単なコースかと思われていました
ですが、高度な技術と戦略が試される難コースだったのですね
Round of 14
昨日の予選と比べ、天候も風も穏やかになった決勝日
Heat.1
先に飛ぶピート・マクロード選手
やっぱり鬼門の Gate5 で OverG ペナルティの1秒
それでも59秒4なら、まだ勝負になるタイムか?
後に飛ぶニコラス・イワノフ選手
素晴らしいスタートから、ずっと Green 表示でリードしつづけたのに、最後の最後 Gate13 で OverG!!!
それでネットタイムも早ければよかったのだが、そこは伸びずに敗退です
Heat.2
先に飛ぶフランソワ・ル・ボット選手
1, 3回目のバーティカルターンをものすごく攻めたラインを取ったフランソワ・ル・ボット選手
でもその前の Gate4 でいきなりインコレクトレベルを犯し、加えて Gate12 (つまり同じ場所) でもインコレクトレベル
2 回やっちゃ〜勝負になりません
後に飛ぶベン・マーフィー選手
2 回のペナルティの余裕がある中でのスタート
バーティカルターン 1, 3 をフランソワ・ル・ボット選手と同じようなラインを使いましたが、ベン・マーフィー選手のほうが多少余裕のあるラインに見えました
それでノーペナルティなら勝ち抜けますよね
Heat.3
先に飛ぶ室屋義秀選手
バーティカルターン 1, 3 は抑え気味に、バーティカルターン 2 は水平のルートを選んだ室屋義秀選手
でもバーティカルターン 1, 3 は両方とも10G を超えずタイムが伸びない
1分1秒台では勝負にならないか
あとのコメントでは、風に対する作戦ミスが負けた理由のように言ってましたね
後に飛ぶマット・ホール選手
順調にリードを広げていったフライト
なんとバーティカルターン 3 を通常とは逆方向に取ってました!
いままで誰もやってなかったんじゃないかな?
それでもきっちり勝ち上がるのはさすがです
Heat.4
先に飛ぶカービー・チャンブリス選手
バーティカルターン 3 をマット・ホール選手と同じルートを狙う作戦
でもいつもの悪い癖である上下動が多発しているし、バーティカルターン 2 の Pull UP が遅れてはタイム出ませんね
1分0秒は遅いほうのタイムです
後に飛ぶミカエル・ブラジョー選手
フライトに多少の余裕を感じるほどで、順調にリードを広げていった
しかし、最後の最後のバーティカルターンで OverG
バーティカルターン直前までは OverG ペナルティでもぎりぎり勝てるか?とも思ったが、残念ながらの敗退
直後に映った彼の苦笑が印象的でした
Heat.5
先に飛ぶペトル・コプシュタイン選手
まさに堅実を狙ったフライト
3 つのバーティカルターンも無難なルートで、堅実確実にペナルティを避けているようにも見えます
1 分 0 秒はちょっと遅いか?
後に飛ぶマイケル・グーリアン選手
とても安定して安心してみていられるフライト
ずっと調子が出ていないようなコメントでしたが、ようやく復調の兆しが見えたのか?
コース取りも教科書的ですが、きっちり OverG を避けたのは、経験によるものか
勝ちが決まったときの、喜びようは本当に嬉しかったのね
Heat.6
先に飛ぶクリスチャン・ボルトン選手
バーティカルターンの Pull UP は遅いし、弱いし、では良いタイムは望めない?とおもっていたら、1分をギリギリ切るそこそこのタイム
ノーペナルティなのを大事にしている選手だけに、このフライトは納得だったんじゃないかな?
後に飛ぶフアン・ベラルデ選手
最初スモークがでなくてドキドキしたが、ちゃんと出して無事スタート
途中まで安定した良いフライトを続けていたが、最後の最後でカービー・チャンブリス選手のような
Heat.7
先に飛ぶマティアス・ドルダラー選手
前戦で機体を壊し、最近のフライトでも安定感のないフライトだったマティアス・ドルダラー選手
安定したフライトを目指してたが、最後の最後の Gate 13 でインコレクトレベル、かつ、その直後に OverG で 3 秒ペナルティ
後に飛ぶマルティン・ソンカ選手
もう教科書のようなフライト
最後のバーティカルターンもカービー・チャンブリス選手のように逆ターンを選び、誰よりもしっかりと G をかけたフライト
加えて最速タイムでの勝ち上がりでした
ファーステストルーザーはクリスチャン・ボルトン選手でした
勝ち上がったけど、タイムは納得してない様子でしたね
Round of 14 の結果はこうなりました
ピート・マクロード◯ v.s. ニコラス・イワノフ
フランソワ・ル・ボット v.s ベン・マーフィー◯
室屋義秀 v.s. マット・ホール◯
カービー・チャンブリス◯ v.s. ミカエル・ブラジョー
ペトル・コプシュタイン v.s. マイケル・グーリアン◯
クリスチャン・ボルトン v.s. フアン・ベラルデ◯
マティアス・ドルダラー v.s. マルティン・ソンカ◯
この結果 Round of 8 はこういった対戦です
マイケル・グーリアン v.s. ピート・マクロード
ベン・マーフィー v.s. フアン・ベラルデ
クリスチャン・ボルトン v.s. マット・ホール
カービー・チャンブリス v.s. マルティン・ソンカ
しかし、タイム伸びませんでしたね
前日の風よりだいぶ弱くなっているのに、最速が 59秒1
予選最速が 57 秒 8 でしたから、1 秒 3 も遅くなっている
風が弱くなってタイムが落ちるのは、昨日と比べ気温がだいぶ上がったか、風向きによってのタイム差が大きいコースなのか
ちょっと謎ですね
Round of 8
少し曇ってきた天気の中始まったRound of 8
風は相変わらずしずかです
Heat.8
先に飛ぶマイケル・グーリアン選手
スタートは完璧、ライン取りは教科書どおり、Gもまずまずで、しっかりとペナルティフリーなフライト
タイムは 1 分 0 秒と平凡なタイム
後に飛ぶピート・マクロード選手
比較的安全なコース取りを取ったピート・マクロード選手
それでも速いフライトで、速いときのピート・マクロード選手が戻ってきた感じ
タイムも好タイムで、Round of 14 を早々と更新する 58 秒 9 で勝ち上がり
Heat.9
先に飛ぶベン・マーフィー選手
とってもキレイなフライト
バーティカルターン3を水平に逆回転にしてスピードを落とさず 59 秒 9
でもこれは平凡なタイムかな
後に飛ぶフアン・ベラルデ選手
最初のスプリットで 0.5 秒も遅れていたのに、2番目のスプリットタイムでリードする展開
そこから順次差を広げていったが、最後の最後で “Crossing The Track Limit Line” をやってしまう
バーティカルターンを上がった瞬間、低い!って思ったんですよ
あそこ低いと “Crossing The Track Limit Line” になりやすいから
そしたらダメでしたね
ちょっとだけ足りずに敗退です
Heat.10
先に飛ぶクリスチャン・ボルトン選手
1回目のバーティカルターンは G が弱すぎて心配されたが、2回目3回目はまぁまぁな G
ペナルティをしないように安全に飛んでいるようにも見えます
タイムは 1 分 0 秒台と平凡ですが、相手のミス待ちでしょう
後に飛ぶマット・ホール選手
最初のバーティカルターンで思いっきりストールしてしまい、だいぶ遅れてしまいました
マット・ホール選手がここまでストールするのは珍しい
だが、ここから巻き返せるのが実力の差か
一旦は 0.3 秒遅れたのに、0.5 秒の差をつけての勝利
Heat.11
先に飛ぶカービー・チャンブリス選手
結構アグレッシブに飛び上下動も激しかったが、バーティカルターンでしっかりとタイムを落とさず飛べたのではないか?
ただ、タイムは1分を超える平凡なものに
これではマルティン・ソンカ選手へのプレッシャーにならないかも
後に飛ぶマルティン・ソンカ選手
いやぁ、強い!何も心配する必要のない完璧なフライト
バーティカルターン後にゲートを通るときにも、余裕をもって水平に侵入している
こんな余裕のある完璧なフライトされたら、相手はたまったもんじゃないでしょうね
マイケル・グーリアン v.s. ピート・マクロード◯
ベン・マーフィー◯ v.s. フアン・ベラルデ
クリスチャン・ボルトン v.s. マット・ホール◯
カービー・チャンブリス v.s. マルティン・ソンカ◯
この結果、Final 4 のフライト順は
ピート・マクロード選手
ベン・マーフィー選手
マット・ホール選手
マルティン・ソンカ選手
です
Final4
1人目ピート・マクロード選手
Round of 8 で一番早かった彼だが、ラインと少し変えてきたフライト
ネットタイムをいきなり57秒台に入れたが、最後の最後で “Crossing The Track Limit Line” をやっていまいました
それでも 58 秒 9 ですから、あとの選手にしっかりとプレッシャーをかけられましたね
2人目ベン・マーフィー選手
良いスタートを切ったと思ったんだけどね、最初のバーティカルターンで OverG ペナルティ
それでもリードしたままゴールを迎えるという、なんという速さ!!
ピート・マクロード選手とペナルティは同じ条件だけど、速さはベン・マーフィー選手のほうが遅いと思っていたんだよね
それでもタイムを縮めたのはたいしたもの!
3人目マット・ホール選手
1秒のリードをもらっていたわりには、ずっと差を広げられないフライトがつづいてました
結構ペナルティギリギリな箇所もあったが、最後は 0.1 秒差での勝利
4人目マルティン・ソンカ選手
なんと!なんと!なんと!通常ではありえない Gate3 のパイロンヒット!
パイロンヒットの少ない選手であるのに、この大事なところで失敗するとは!
リプレイ見る限りは、風で流されたわけではなく、シケインから Gate4 へのセットアップ (コース取り) を間違えた模様
これでマット・ホール選手の優勝が決定!
ライバルのマルティン・ソンカ選手が4位、ベン・マーフィー選手が2位で初めての表彰台
ピート・マクロード選手が3位です
室屋義秀選手が下位に沈んだことで、ポイント差が縮まったんじゃないかな?
さて、これでポイントランキングはこうなります
1位 | マルティン・ソンカ | 65 |
2位 | マット・ホール | 61 |
3位 | 室屋義秀 | 55 |
4位 | ベン・マーフィー | 37 |
5位 | マイケル・グーリアン | 37 |
6位 | ニコラス・イワノフ | 33 |
7位 | フアン・ベラルデ | 32 |
8位 | ミカエル・ブラジョー | 31 |
9位 | ピート・マクロード | 30 |
10位 | カービー・チャンブリス | 26 |
11位 | クリスチャン・ボルトン | 24 |
12位 | フランソワ・ル・ボット | 21 |
13位 | ペトル・コプシュタイン | 10 |
14位 | マティアス・ドルダラー | 4 |
この結果、最終戦千葉を残し、チャンピオンシップは実質上位3人のみに限定されました
現在 4 位 5 位の ベン・マーフィー選手/マイケル・グーリアン選手は現在 37 ポイントで、最大ポイントが 28 だから合計すると 65 ポイント
マルティン・ソンカ選手が 14 位で、マット・ホール選手/室屋義秀選手が相当下位に沈まない限り、ベン・マーフィー選手/マイケル・グーリアン選手のチャンピオンの可能性はありません
上位 3 人の点差はたった 10 ポイント
今年から上位 4 人の点数が多くなったことで、10 ポイントはあって無いようなもの
ほぼ千葉戦一発勝負な感じがでてきましたね
チャンピオンの条件は、後日検証しますね
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