2019年 Redbull Airrace 第4戦 千葉ラウンドが終わって、早くも一週間
だいぶ遅くなりましたが、レースを見ての感想です
予選
飛ぶ順番は、それまでのランキング下位から
ずっとエンジンまわりの調子が悪く、無事に予選本戦を迎えられるかと心配されたクリスチャン・ボルトン選手もなんとか無事に飛べました
カービー・チャンブリス選手も FP で調子悪かった一人
予選でもそれほどタイムが出ず、活躍が見られないのかな?と残念に思っていました
そのほかでは、それまでの練習である FP1, FP2, FP3 と好調だった選手が、そのまま上位に来た印象
TOP を取ったフアン・ベラルデ選手を中心にレースが展開されるのでしょう
予選により、Round of 14 はこのような対戦となりました
ベン・マーフィー v.s. 室屋義秀
ピート・マクロード v.s. マティアス・ドルダラー
ミカエル・ブラジョー v.s. ペトル・コプシュタイン
クリスチャン・ボルトン v.s. フランソワ・ル・ボット
マイケル・グーリアン v.s. マット・ホール
ニコラス・イワノフ v.s. マルティン・ソンカ
カービー・チャンブリス v.s. フアン・ベラルデ
Round of 14
なんと台風の影響で 4 時間も繰り上がって始まった Round of 14
フライトできなくなる、というよりも、台風直撃前に片付けの時間を確保する必要があるための措置なんです
この辺が仮設ハンガーの弱みですね
Heat.1
先に飛ぶベン・マーフィー選手
彼の機体は元々室屋義秀選手のものであり、過去千葉でTOPに近いタイムを出したこともあるスピードのあるもの
それを活かしきれたのか58秒を切るタイム
ただ、このタイムは前日までに比べるとだいぶ遅かった
風向きが変わった影響か、湿度の影響かはわかりませんが、このときは58秒前後の勝負になるとは思ってもみませんでした
後に飛ぶ室屋義秀選手
ベン・マーフィー選手のタイムを受け、余裕で勝ち上がるかな?とも思っていたんです
ところが、スプリットタイムは、赤・赤と続きヤバさが出てきます
3つめのスプリットタイムで緑!これで勝てるとおもったけど、なんと 0.015 秒という僅差での負け
最後のバーティカルターンでだいぶ遅れました
これは、室屋義秀選手ファンにとっても悪夢の時でした
Heat.2
先に飛ぶピート・マクロード選手
FP3 で最速でありながら、予選で失敗してたためにこのポジション
失敗なければ予選2位のタイムでしたから、元々はスピードはあります
そのスピードを活かし、57秒4のまずまずのタイム
58秒前後の勝負であれば、これはいいプレッシャーになるでしょう
後に飛ぶマティアス・ドルダラー選手
個別にファンサービスをしてくれるほどファンを大事にするマティアス・ドルダラー選手
2016 年のチャンピオン以来不調が続きますが、予選はまずまず
ところが、機体にスピードが足りず 58秒4 と 1 秒近く遅れてのフィニッシュ
最近彼のヨーデルが聞けなかったのだが残念です
Heat.3
先に飛ぶミカエル・ブラジョー選手
なぜか予選だけタイムが出なかったミカエル・ブラジョー選手
Round of 14 のフライトもスピードが全く感じられず、タイムはなんと 59秒0
これは遅すぎでしょう
相手に勝ちをプレゼントしたようなもの
後に飛ぶペトル・コプシュタイン選手
ミカエル・ブラジョー選手のタイムを受けて、安全に飛べばいいはずだった
ところが、なんと、スタート速度違反を犯して DNF
これは勿体ない
コントロールタワーが最後まで飛ばさせてくれたのは、親心でしょうか?
Heat.4
先に飛ぶクリスチャン・ボルトン選手
エンジンがずっと不調で、千葉に来てからもオイル漏れなどの問題を抱えていましたが、無事にフライト
彼のモットーは安全確実ですから、ペナルティーを受けないことが第一
そのモットー通りのフライトで 58秒2
これであれば相手がミスしてくれれば勝ち上がれるタイムです
後に飛ぶフランソワ・ル・ボット選手
FP から好調を維持していたフランソワ・ル・ボット選手
ようやくスピードを維持するフライトが、できるようになってきたのかもしれません
(エアロバティックの優秀な選手は、細かく修正舵を当ててしまいスピードを殺してしまう癖がある)
その好調を維持し 57秒4 の好タイムで勝ち上がりました
Heat.5
先に飛ぶマイケル・グーリアン選手
今回あまり目立たなかったマイケル・グーリアン選手
フライトはきれいだけど、相手がマット・ホール選手ではスピードが足りず 58秒0
これでは難しいか
後に飛ぶマット・ホール選手
チャンピオン候補のマット・ホール選手
速いしきれいなフライト、何も文句のつけようがありません
決勝日最速の 57秒0 を出し、圧勝でした
Heat.6
先に飛ぶニコラス・イワノフ選手
今回、風向きによってばらつきのあるニコラス・イワノフ選手
Round of 14 の風はどうか?と見ていましたが、相変わらずの悪い癖オーバーロールが多発して、これ風の影響関係ないじゃん、と
これではタイムが伸びず 58秒5 とあまり良くないタイム
マルティン・ソンカ選手へのプレッシャーになるかどうか?
後に飛ぶマルティン・ソンカ選手
好調を続けていたマルティン・ソンカ選手なら余裕だと思ったんですよ
ところが!なんと2本目のバーティカルターンで Over G ペナルティー 1 秒
Round of 14 ではほとんどの選手が10Gさえ超えないことが多い中、初の Over G
この 1 秒が響いて 58秒8 での敗退
しかも室屋義秀選手が 57秒9 というタイムを持っているので、ファステスト ルーザーにもなれない!
この時点で千葉大会、そしてチャンピオン争いも終わってしまいました
Heat.7
先に飛ぶカービー・チャンブリス選手
ずっとタイムが出なかったカービー・チャンブリス選手
ところがこのフライトになって、突然いつもの上下する悪い癖が出ない!
この時のカービーは速いぞ!と思っていたら、なんと 57秒3 というマット・ホール選手に次ぐ好タイム
一気にフアン・ベラルデ選手にプレッシャーをかけます
後に飛ぶフアン・ベラルデ選手
好調のフアン・ベラルデ選手なら大丈夫、彼のフアンはそう思ったでしょう
悪いフライトとは感じませんでしたが、58秒1 と平均的なタイム
これではカービー・チャンブリス選手には勝てません
なんと予選トップが敗退してしまいました
これで、室屋義秀選手のファステスト ルーザーが確定
持ってますねぇ
対戦では負けましたが Round of 8 に進出です
ベン・マーフィー◯ v.s. 室屋義秀
ピート・マクロード◯ v.s. マティアス・ドルダラー
ミカエル・ブラジョー◯ v.s. ペトル・コプシュタイン
クリスチャン・ボルトン v.s. フランソワ・ル・ボット◯
マイケル・グーリアン v.s. マット・ホール◯
ニコラス・イワノフ◯ v.s. マルティン・ソンカ
カービー・チャンブリス◯ v.s. フアン・ベラルデ
あ、上位がこんなにボロボロ負けるのってあまり無い気がしますね
この結果 Round of 8 の対戦はこうなります
ベン・マーフィー v.s. ピート・マクロード
室屋義秀 v.s. フランソワ・ル・ボット
ニコラス・イワノフ v.s. カービー・チャンブリス
ミカエル・ブラジョー v.s. マット・ホール
マルティン・ソンカ選手が敗退したことで、チャンピオン争いはマット・ホール選手と室屋義秀選手に絞られています
Round of 8
Round of 14 と風向きが逆向きに変わり、予選と同じ向きになりました
予選でタイムが良かった選手が優位と考えると、フランソワ・ル・ボット選手とマット・ホール選手選手が有利か?
Heat.8
先に飛ぶベン・マーフィー選手
いきなり悪いクセ出た!!!Gate 3 でパイロンヒット!彼比較的パイロンヒット多いイメージなんですよ
加えて Gate13 でもインコレクトレベル
合計 5 秒もあっては勝負になりません
後に飛ぶピート・マクロード選手
まぁ安全に飛べば勝ち上がりですからね
何も心配する必要ありません
無難に飛んでいました
Heat.9
先に飛ぶ室屋義秀選手
ファステストで残った室屋義秀選手
とはいえ今回ずっとスピードが足らずに悩まされてます
ここで出した 57秒8 は平凡なタイムかと思ってました
後に飛ぶフランソワ・ル・ボット選手
前半まではいい勝負をしていました
ところが中盤の Gate12 でインコレクトレベル
これに動揺したのか Gate14 でもパイロンヒットと、精神力の弱さみたいなものが垣間見えたフライトとなってしまいした
Heat.10
先に飛ぶニコラス・イワノフ選手
オールドたちの戦いとなった Heat.10
どちらも調子わるい風なのに勝ち上がったので、まったく予想がつきません
ニコラス・イワノフ選手は癖のオーバーホールが少し出てタイムロス
59秒0 は相手にとってどうなのでしょう
後に飛ぶカービー・チャンブリス選手
風向きが変わったことで少し慎重なフライトに見えました
上下動はそんなに大きくありませんが、思ったよりタイム出なかったですね
58秒7 はけっこう僅差な勝利です
Heat.11
先に飛ぶミカエル・ブラジョー選手
元々スピードのある相手に対し、ペナルティーなしで飛べればプレッシャーをかけることもできたはず
ここ数戦、スピードがありましたから
しかし 2 つ目のバーティカルターンで OverG を犯し 1 秒のペナルティ
これではプレッシャーになりません
後に飛ぶマット・ホール選手
まぁまぁ安全に飛んでも勝てそうな相手になってしまいました
安全というより堅実に飛んで勝ち上がり
これによりチャンピオン争いは、いまだマット・ホール選手と室屋義秀選手の一騎打ちが続いています
Final4
泣いても笑っても最後の Final 4
チャンピオンの条件は
- マット・ホール選手:3位以内
- 室屋義秀選手:1位かつマット・ホール選手が4位
という、マット・ホール選手が圧倒的に有利な条件
1人目 ピート・マクロード選手
何を間違えたか、平凡なゲートである Gate2 でパイロンヒット!
追い風ぎみとはいえ、そこ間違えちゃだめでしょう
動揺をうまく抑えたかに見えてましたが Gate12 でもインコレクトレベル
合計 5秒 のペナルティ
正直このペナルティでレースを壊してしまいましたね
一番落胆したのは室屋義秀選手でしょう
マット・ホール選手は同様なミスをせず、完走さえできれば 3 位に入りチャンピオン決定
これでは室屋義秀選手はどうしようもありません
チャンピオンは取られても、千葉の優勝を狙うことができるかどうか?
2人目 室屋義秀選手
正直室屋義秀選手のフライトに精彩を感じませんでした
もしかしたら風が強かったのかもしれませんが、速さも切れも見られない
タイムも 58秒6 と平凡なタイムで、優勝は無理かな?と思いました
3人目 カービー・チャンブリス選手
正直カービーが、あの調子の悪さからここにいるのが不思議なぐらい
やはり難しいコンディションになっていたのでしょう
タイムが伸びず 59秒6 と室屋義秀選手に近づくこともできませんでした
4人目 マット・ホール選手
狙ってすべてを奪うのか、狙って全部失うのか、それともチャンピオンを確保するのか
マット・ホール選手の考え方に注目が集まったフライト
結果は、チャンピオンを確実にするフライトでした
Final 4 の結果は
1位 室屋義秀選手
2位 カービー・チャンブリス選手
3位 マット・ホール選手
4位 ピート・マクロード選手
となりました
なんと室屋義秀選手は千葉5大会中3勝と、ホームレースに滅法強かった
モータースポーツって、どんなに偉大な選手でもホームレースなかなか勝てないことが多いのに!
ちょっと異質です
さて、これでポイントランキングはこうなります
1位 | マット・ホール | 81 |
2位 | 室屋義秀 | 80 |
3位 | マルティン・ソンカ | 68 |
4位 | ベン・マーフィー | 48 |
5位 | カービー・チャンブリス | 48 |
6位 | ピート・マクロード | 48 |
7位 | ニコラス・イワノフ | 47 |
8位 | ミカエル・ブラジョー | 44 |
9位 | マイケル・グーリアン | 42 |
10位 | フアン・ベラルデ | 39 |
11位 | フランソワ・ル・ボット | 34 |
12位 | クリスチャン・ボルトン | 27 |
13位 | ペトル・コプシュタイン | 10 |
14位 | マティアス・ドルダラー | 6 |
マット・ホール選手、チャンピオンおめでとうございます!
最後のフライトで、チャンピオンを狙ったフライトを選んだのは正解だと思います
いままでランキング2位が3回で、どうしても欲しかったチャンピオン
レースに負けてもチャンピオンを取れるほうが何倍もいいもの
フライト後の彼の涙が印象的でした
本当に、マット、おめでとう!
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